便秘外来

便秘外来について

便秘の方が増えています。
便秘は病気ではないと思われがちですが、腸の動きが悪ければ消化・吸収・ 排泄がうまくいかず、下腹部の張り、腹痛などの原因になります。体内には、通常は排出されていなければならない毒素や不要な老廃物が長期間溜まることになり、ニキビや肌荒れといった、肌トラブルにもつながります。

便秘の原因としては、運動不足、ストレスや腹筋力の低下、体の冷え、女性ホルモンの乱れなどが挙げられますが、実際にはいくつかの原因が複合的に絡み合っています。

整腸剤や便秘薬を使って早急な治癒を求めても、便秘がなかなか治らない、ずっと継続しているという場合は、何か別の病気が潜んでいる可能性があります。

自己判断で市販の便秘薬などを飲み続けているのも危険です。症状をさらに悪化させてしまうケースもあり得ますので、当院の「便秘外来」を受診することをお奨めします。

便秘の専門医による診断を受けることで、別の病気が隠れているかどうか、またその病気が何であるか、一般的な内科医による検診だけではわかりにくかった部分が判明しやすくなります。

便秘外来では、体内に隠れた疾患など異常がないか診察後に、薬物療法のみばかりでなく、腸に良い食生活のアドバイスをし、自然な便通が起きるようにサポートするのが主な目的です。

当クリニックは、便秘専門サイト「おなかのはなし.com」に掲載されています。

便秘の原因

便秘の種類には大きく分けて機能的便秘と器質的便秘の2つが考えられます。機能的便秘はいわゆる常習性便秘で、過敏性腸症候群や薬剤性の便秘も含まれます。

また、器質的な便秘は、大腸の疾患や切れ痔・いぼ痔などに多くみられます。特に切れ痔の患者様は、排便時の痛みのために排便を抑制してしまいがちで、便をしない習慣が身についていることもあります。

また、糖尿病や甲状腺機能低下症などの全身性の疾患が原因になることもあり、まれにパーキンソン病や脳腫瘍でも便秘が引き起こされます。器質的な便秘の場合は、原因疾患の治療を行ないます。

現代におけるストレス社会では会社での上司とのトラブルや職場の人間関係など様々な要因が溢れています。精神的な便秘の場合は、カウンセリングだけでも治ってしまうこともあります。

ただし、便秘の治療中に「がん」の可能性は絶対に見逃してはなりません。便秘と下痢を繰り返していたり、粘血便が出ていたりしたら要注意です。
自分勝手に痔と判断する方も多く「がん」と合併しているケースもあるので大腸内視鏡検査をされることをお勧めします。
※当クリニックでは便秘外来は随時受け付けています。是非当院までご相談ください。

こんな方は要チェック

便秘、お通じに関してお困りではないでしょうか?

  • 便が出にくい。いきんでもなかなか出ない。
  • 便意が少ない。
  • 便が残ったような感じがいつもある。(残便感)
  • 便が硬い。ウサギの糞のような便しか出ない。(兎糞状)
  • おなかが張って、痛いときがある。
  • たまに便が出るときは、下痢になる。

など、お通じで困っている状態を総称して「排便障害」といいます。

一般には「便秘症」と言われますが、この症状のお持ちの方はどうなさっていますか?

  • 市販のお薬で対処しているが、うまくいかない。
  • 市販のお薬で対処してきたが、効かなくなってきた。
  • 近所の先生に時々薬をもらっているが、コントロールが効かない。
       

これらの症状でお困りの方のために
当クリニックでは便秘外来を設置しています。便秘の原因は様々です。

「便秘」ひとつをとっても、原因は多種多様です。
まずは便秘が起きている場所によって「大腸型」「直腸・肛門型」に分類されます。

これをさらに、
器質的な原因:腫瘍や炎症などの腸に目に見える原因がある場合と、
機能的な原因:腸の動きが悪いことが原因、に分類します。

原因

大腸型(大腸が原因)

器質的な原因:大腸がん /炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
機能的な原因:一過性単純性便秘/薬物性障害/機能性便秘/過敏性腸症候群

直腸・肛門型

器質的な原因:直腸がん /炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、 クローン病)
機能的な原因:直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)/直腸重積 など

と、一部を挙げただけでも、
便秘という症状だけでもさまざまな原因があることが、お分かりいただけると思います。
機能性便秘(腸の機能低下に起因する便秘)ひとつをとっても、
さらに痙攣性便秘・弛緩性便秘・習慣性(直腸性)便秘に分類されます。

便秘症

便秘症とは、便通が週に2回以下で、お腹の張っ感じ(腹部膨満感)や腹痛、残便感などの苦痛や不快感を伴うものとされています。

つまり、何らかの原因で便が長期間、腸の中に留まってお通じが順調に行われず、苦痛・不快感を伴う状態を便秘と言います。
苦痛や不快感が無く、自分のリズムに沿ったお通じがあるならば便秘とは呼びません。

便秘の原因

便秘には、別の病気や腸そのものの異常が原因の器質的便秘と、
特には病気はないが、腸の動き(機能)が何らかの原因で異常となり、お通じが滞る機能的便秘があります。
機能的便秘は最もよくみられる慢性の便秘で、以下の3つのタイプがあります。

  • 痙攣性便秘 腸の緊張や運動が高まることによって起こる。
    (兎糞が特徴)
  • 弛緩性便秘 腸の運動が低下することでおこる。(高齢者に多い)
  • 直腸性便秘 便が直腸に達しても排便反射を起こさない(高齢者やお通じをがまんする習慣のある人に多い)

また、病院で処方される薬剤の中には、副作用として便秘を引き起こしやすいものがあります(精神安定剤など。)
これらは、薬剤性便秘と言います。

便秘の体への影響

私たちの体は、栄養素を取り去った後の食物(不要物)を便としてスムーズに排泄するメカニズムを備えています。
便秘となってこの不要物が長く体に留まると、私たちの腸の中の細菌のいくつかが便を腐敗させ、ガスを発せさせます。
便秘によって出口が塞がれると、腸内にガスが溜まり、様々な症状が現れてきます。

  • お腹が張る お腹がボッコリでてきたり、強い不快感があります。
  • お腹が痛い お腹の不快感から痛みに変わることがあります。
  • お肌の荒れ 腸内細菌が増えることが原因の一つと言われています。
  • その他 頭痛、肩こり、吐き気、イライラ感、不眠などの原因となることもあります。

便秘の種類

便秘にはいろいろなものがあります。タイプによって治療法が違いますので注意が必要です。

器質的便秘
機能的便秘/習慣性便秘
弛緩性便秘

便秘薬の種類

経口便秘薬には、いろいろな種類がありますが、
便秘の原因をはっきりさせてから、お薬を選択する必要があります。

1.膨張性下剤

便に水分を吸収させて、膨張させる作用があります。膨張した便が腸に刺激を与え、お通じを促します。

2.刺激性下剤

硬くなった便を緩める作用があります。便が柔らかくなるので、スムーズなお通じを促します。

3.刺激性下剤

腸に刺激を与えて蠕動運動をひき起します。
腸の運動が活発になるこ戸によってお通じが促されます。
その他、浣腸剤や、最近では消化管運動改善薬も便通改善に効果があります。
最近では消化管運動改善薬も便通改善に効果があると言われてますので、ぜひご相談下さい。

症状からみた便秘の対処法

対処法

便意があっても便がでない

まず浣腸を試みて下さい。だめな場合には消化器科、肛門科を受診してください。

腹痛があるが便意がない

腹痛が軽度の場合には浣腸を試みて下さい。
排便がなく腹痛が強くなってくる時には消化器科を受診して下さい。

何日も排便がなく下剤を飲んでも効果がない

水分を大量に飲み軽い運動をしてみて下さい。
常用している下剤を倍量飲むことも効果的です。
少量の下剤を毎日飲むことは便秘を慢性化させる原因になります。お悩みの方は一度ご相談にいらして下さい。

毎日排便はあるがスッキリしない

一度大腸の検査を受けて下さい。
特に異常がない場合は水分と食物繊維が足りないことが多いようです。

コロコロ便が少しずつ出てすっきりしない

原因としては、水分、食物繊維が足りないためコロコロ便になっている。コロコロ便は腸の動きを刺激する効果が弱い。
1.食生活の改善 食物繊維を多く含む食べ物を多く食べ、水分を多く飲む
2.水分を多く含む便にする効果がある便通剤(塩類下剤、膨張性下剤)を用いる。

下剤を飲まないといつまでも排便がない(腹痛をあまり伴わない場合)

原因:自然な腸の動きが悪くなっている
1.排便習慣、食生活の改善
2.自然な腸の動きを回復させる/肛門近くに便が溜まったままにしない。/浣腸が効果的。/大腸全体に溜まっている便を洗浄する腸内洗浄が効果的
3.適切な下剤に変える/腸の神経を直接刺激する下剤(センナ、アロエ、ダイオウ、ヒマシ湯)などを長期連用すると、自然な腸の動きが悪くなる。/塩類下剤、膨張性下剤がよい。

下剤を飲まないといつまでも排便がない(腹痛を伴う場合)

下剤が強すぎるのが原因、大腸の通過障害
1.適切な下剤に変更、または下剤の量を減らす。
2.大腸精密検査を受ける。

便秘になる理由

1.悪い排便習慣

  • 朝食後に排便をする習慣がない。
  • 便意があってもがまんする。
  • 排便がなくても、そのままにする。(腸管神経の閾値(いきち) があがり、鈍感な腸になる。)

2.問題のある食生活

  • 食物繊維の少ない食事。
  • 水分をあまり飲まない。
  • 食事の時間が不規則。

3.不適切な下剤の使用

4.病的便秘

  • 大腸がん、手術後癒着、くりかえす憩室炎、過敏性腸症候群

対策

排便をスムースにするには腸の動きを刺激する便になっていること。

・水分を多く含んだ便
・ボリュームのある便(食物繊維が多く含まれた便)

腸の動きを活発にすること。

・適度な運動
・胃腸反射

便意を感じたら我慢しないこと。

便意とは肛門近くに便やガスが溜まり、その刺激で腸が動き出した時に感じるものです。
肛門の重苦しい痛みも便意と考えられることもあります。いきみと腸の動きを協調させる。

食物繊維とは

食物繊維の働きのまとめ

  • 便秘を解消する
  • 肥満を予防する
  • 高血圧を予防、改善する
  • 動脈硬化を予防する
  • 糖尿病を改善する
  • 胆石を予防する
  • 大腸がんの発生を予防する

便秘外来開設にあたって

今や便秘は日本人女性の多くが悩まされている国民病です。
さまざまなサプリメントを試みたり、食生活を見直したり、生活習慣を改めたりしても便秘が改善しない方が多いのが現状です。
従来便秘のタイプは弛緩性便秘・ストレス性便秘・直腸性便秘の3タイプに分類されていましたが、
最近この範疇に入らない大腸自体の形態にその原因を求めた新たな知見が注目を集めています。

さらに32年ぶりに新しい作用機序を有した便秘薬が登場してきました。
単に排便回数を増やしたり、便をやわらかくするだけでなく「すっきり感」を伴う自然排を得るのが便秘治療の最終目標です。

便秘のタイプは各人さまざまです。
一人一人の便秘の原因を追究し、それぞれに合った治療方法を見つけ出していこうと思ってます。気楽に受診なさってください。

  • step01

    問診

    ①便秘発症の時期と経過
    ②排便回数
    ③便通の規則性
    ④便の量
    ⑤便の硬度
    ⑥排便困難の有無
    ⑦残便感の有無
    ⑧血便の有無
    ⑨腹部所見の異常の有無

  • step02

    発症誘因

    ①年齢 ②性 ③既往歴 ④手術歴 ⑤家族歴 ⑥生活様式

  • step03

    便秘の誘因となる薬物はないか?

    (制酸剤・抗コリン剤・鎮痛剤・鎮咳剤・気管支拡張剤・麻薬・抗うつ剤・向精神薬・パーキンソン治療薬・利尿剤・神経節遮断薬・降圧剤・筋弛緩剤)の服用の有無

  • step04

    治療方針

    ①器質的便秘→原因疾患の治療
    ②機能的便秘→発生要因を取り除き、自然の排便リズムへ導く生活指導

  • step05

    薬物療法

    それぞれの病態に即した最適な薬剤を選択投与する。