痔の日帰り手術

     

痔の日帰り手術について

当クリニックでは、日帰り手術室を併設しており、おしりの日帰り手術を毎日おこなっています。

日帰り手術とは、患者様が手術当日に来院し、手術を受け、その日のうちに帰宅する手術のことをいいます。アメリカやイギリスでは一般的な手術方法で、日本でもその安全性と利便性から積極的な導入がはじまっています。医療技術や機器の進歩により、患者様への負担の少ない術式の確立、安全性の高い麻酔方法などにより日帰りで受けられる手術が増えています。日帰り手術は、全ての疾患や全ての医療機関で行われている訳ではありません。当院は関東信越厚生局からリカバリーベッド(回復室)や人員配置などの体制を整えている医療機関として認定されます。

忙しいビジネスマンの方、小さなお子様がいる主婦の方など、入院をすることが困難な方に最適な治療法と考えます。

尚、日帰り手術に不安のある方、入院による治療をご希望される方、高齢の方、重篤な併存疾患のある方、遠方からの方は無理せず入院手術をお勧めしています。提携病院である横浜旭中央総合病院で、当クリニック院長である白畑敦が執刀いたしますので、お気軽にお申出ください(毎週木曜日のみ対応可能)。

 

おしりの日帰り手術

おしりの病気の治療に、当クリニックでは日帰り手術をおこなっています。豊富な技術と経験、知識を持つ日本大腸肛門病学会専門医である院長が、患者様の症状に合わせ、体への余分な負担が少ない最適な手術方法を選択しています。

日帰り手術(ERASプログラム)

  • step01

    手術前カウンセリング

    当クリニックでは、患者様と医師の信頼関係を大切にしています。
    手術前に耐術評価を正確に判断し、しっかりとご納得いただけるようインフォームドコンセントを十分に行います。
    患者様には手術や治療の全体像、術後の管理(出血や創からの浸出液、疼痛の程度、排便指導、術創の管理など)を把握・イメージしていただくことができます。

  • step02

    絶食や絶飲は不要です

    従来では一般的に、術前に浣腸による腸管の排便処置が行われてましたが、当クリニックではピサコジル座薬のみで術前の浣腸は行っていません。
    当クリニックでは、麻酔法を工夫することで、術前の飲水も可能で、絶飲食の期間を可能な限り短縮して患者様の肉体的・精神的ストレスを極力減らすようにしています。手術前日は絶飲食をお願いする、といったことは当クリニックではありません。

  • step03

    手術

    患者様の症状やライフスタイルに合わせて、術前カウンセリングで患者様との間でコンセンサスを得た低侵襲手術で行います。低侵襲とは患者様の負担が少なく、回復の早い方法を選択することです。手術方法については下記に詳しく記します。

    体温保持や手術室の温度調整、過剰な点滴を行わない、などの工夫をすることで、手術中、手術後のバイタルを早期に安定させる工夫も行っています。

    麻酔について

    一般的に肛門の手術では、局所麻酔か下半身全体に麻酔をかけています(腰椎麻酔といいます)が、 当クリニックでは手術のほとんどを「仙骨硬膜外麻酔」で実施します。 お尻の割れ目から少し上のところに注射をし、硬膜外腔に局所麻酔薬を注入するで、肛門周囲の痛みを完全に取り除き、極力麻酔の範囲を狭くできることが最大のメリットです。患者様にとっては安全で2~3時間で麻酔が完全に覚めるので術後すぐに歩行が可能です。腰椎麻酔に比べ費用も安いこと、ほかにもたくさんのメリットがあります。

  • step04

    手術後

    鎮静剤、鎮痛補助財(外用薬、漢方薬など)、塩酸キニーネ注射などを用いて疼痛をなるべくコントロールしますので、手術翌日から、日常生活やお仕事をいつも通りにおこなって頂いても大丈夫です。
    ただし、激しい運動や、いきむような動作はさけてください。
    日帰り手術ですが、多少の痛みや出血はございます。少しいつもより余裕を持った生活を送っていただくと理想的です。
    消毒のため定期的に通院を行っていただき、約1か月~1か月半で根治します。

痔核(いぼ痔)手術の方法について

当クリニックの方針として、患者様のQOL(quality of life = 生活の質)に、最も重きを置いています。なるべく日常生活から、かけ離れることなく根治できるように、患者様の症状や状況に合わせて最適な治療をオーダーメイドでつくることができるよう、様々な治療手法を取り入れています。

結紮切除術
ジオン注射=ALTA療法(アルタ療法)
PPH(Procedure for Prolapse and Hemorrhoids)法
ACL(アナルクッションリフティング)法
ゴム輪または分離結紮法

裂肛(切れ痔/さけ痔)手術の方法について

当クリニックでの狭窄を認める慢性裂肛の治療は最も低侵襲である
用手肛門拡張(仙骨硬膜外麻酔による)をまず初めにお勧めいたします。(病態により数回行う事もあります)。
改善がなければ側方内括約筋切開術、皮膚弁移動術(以下)を検討します。

用手肛門拡張術
側方内括約筋切開術
皮膚弁移動術

痔ろう(あな痔)手術の方法について

術式には以下のようなものがあります。
*術後肛門機能維持・QOLを重視し術前に肛門機能内圧検査を行い術後もモニタリングを行います。
肛門機能低下する場合は肛門機能改善の治療相談を行います。

切開開放術
瘻管くりぬき術(coring out法)
シートン法

日帰り手術の費用

項目 1割負担 3割負担
痔核根治術 ¥7,000 ~ ¥10,000前後 ¥20,000 ~ ¥30,000前後
硬化療法(ジオン注) ¥8,000前後 ¥25,000前後
痔瘻根治術(単純) ¥7,000 ~ ¥10,000前後 ¥20,000 ~ ¥30,000前後
痔瘻根治術(複雑) ¥10,000 ~ ¥13,000前後 ¥30,000 ~ ¥40,000前後
裂肛根治術 ¥7,000 ~ ¥10,000前後 ¥20,000 ~ ¥30,000前後
肛門形成手術 ¥10,000前後 ¥30,000前後
肛門ポリープ切除 ¥5,000前後 ¥20,000前後
血栓除去手術 ¥2,000前後 ¥6,000前後
肛門周囲膿瘍 ¥4,000前後 ¥12,000前後
  • 使用する薬剤の種類や点滴の有無によって費用が前後することがあります。
  • 手術前の検査代は含まれておりません。
  • 切除検体は病理組織検査を行い、炎症の程度やがん細胞が含まれていないかなどを調べることがあります(3割負担で¥5,000前後の費用が別途かかります)。

当院の手術実績

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
痔核 ALTA硬化療法単独 28 15 32 46 131
ALTA硬化療法+結紮切除 264 427 644 675 584
結紮切除+その他 15 12 22 20 48
307 454 698 741 763
痔瘻 47 61 66 90 53
裂肛 19 22 42 34 14
肛門周囲膿瘍 45 56 79 96 132
直腸脱 24 31 22 18 14
その他 50 73 63 84 132
492 686 972 1063 1108

その他:肛門ポリープ・スキンタグ・コンジローマ・血栓痔核・肛門癌など
その他:ACL 分離結紮単独など
症例数は同時手術含む

クオリティーデータ:痔核手術に関してはALTA硬化療法の割合が大きくなっている。低侵襲と術後QOLを天秤にかけ適応のある痔核形態の患者さんと相談し選択して頂いている。痔瘻は基本的には単純痔瘻のみを日帰り手術とし複雑痔瘻、多発痔瘻は入院手術をお勧めしています。裂肛はなるべく手術ではなく保存的加療とし改善なければ手術をお勧めしている。