おしりの病気の診療

おしりの病気の診療について

当クリニックは、大腸肛門外科を専門としており、
おしりの病気のほとんどが「薬による治療」または「日帰り手術」が可能です。
おしりの治療は、患者様にとっては非常に恥ずかしいものだと思いますが、親身にていねいに、精一杯治療させていただいています。
院長は豊富な技術と経験、知識を持つ日本大腸肛門病学会専門医です。
肛門の痛み・出血だけでなく、他院にて治癒困難な肛門のかゆみ・違和感・残便感、肛門から出る粘液、排便障害でお悩みの方は、まずはお気軽に受診してください。
妊婦の方、授乳中の女性、新生児、幼児、小児のおしりの病気でお困りの方も、積極的に対応しますので、ご相談下さい。

痔核(いぼ痔)手術に関してはALTA硬化療法の割合が大きくなっています。低侵襲と術後QOLを天秤にかけ適応のある痔核形態の患者さんと相談し選択して頂いています。
痔ろう(あな痔)は基本的には単純痔ろうのみを日帰り手術とし複雑痔ろう、多発痔ろうは入院手術をお勧めしています。
裂肛(切れ痔/さけ痔)はなるべく手術ではなく保存的加療とし、改善なければ手術をお勧めしています。

診療の流れ

おしりに病気の診察では、視診、触診、肛門鏡診察が主な内容になります。

  • step01

    問診

    ご記入いただいた問診票もとに、詳しくお話をお伺いいたします。

  • step02

    診察

    カーテン越しに肛門診察の姿勢をご自身で作っていただきます。
    視診・触診(直腸診)・肛門鏡診察などをおこないます。
    必要に応じて、肛門内圧測定検査、肛門超音波検査をおこないます。

  • step03

    診察結果説明

    衣服を整えていただいた後、診察結果をご説明いたします。

大腸肛門機能診断に必要な検査

当クリニックの検査方法の一部、検査機器をご紹介します。

直腸肛門機能検査

  • 肛門内圧検査

    肛門内に直径5mmの細い管(圧力センサー)を入れて、肛門に力を入れない時(最大静止圧)や力一杯しめた時(最大随意圧)の肛門のしまる強さ(圧力)を測定します。

肛門超音波検査装置

当クリニックでは最新型の[肛門専用]超音波診断装置を設置しております。
この超音波検査では通常の装置では難しい肛門の詳しい検査をすることができます。当院の日帰り手術では、体への負担を可能な限り少なくする低侵襲で手術します。その手術には肛門の詳細な検査が必要で、最新型の[肛門専用]超音波診断装置での検査結果が非常に有用です。
また、便失禁は肛門括約筋障害の可能性がありますが、肛門括約筋障害の有無を診断するのに適した装置ですので、お心当たりのある方は、お気軽にお申し出下さい。

肛門内圧計

肛門術後の後遺症、慢性裂肛、肛門括約障害、直腸肛門に由来する排便障害等の直腸肛門の病気に対しては最新型の肛門内圧計を使用して行います。

デジタル肛門鏡

患者様に患部画像をご覧いただきながら、具体的に説明するため、最新型のデジタル肛門鏡も導入しています。

痔核(いぼ痔)について

痔核(いぼ痔)は、肛門にいぼ状の腫れができている状態のことをいいます。いぼのできる場所によって「内痔核」、「外痔核」とがあります。
痔核(いぼ痔)は、静脈叢の拡張と血栓による血管起源説と支持組織の減弱による滑脱説があります。誘因として、刺激性の食べもの、飲酒、疲労、睡眠不足、寒冷、同一姿勢の保持、排便時の怒責があります。

外痔核(いぼ痔)によくある症状

  • 痛みがある
  • 大きく腫れた際に、激しく痛む

裂肛(切れ痔/さけ痔)について

裂肛(切れ痔/さけ痔)は、肛門の出口付近の皮膚が切れている状態のことをいいます。
太い便や硬い便、下痢で勢いよく便が通過することが原因となって起こります。裂肛(切れ痔/さけ痔)は便秘になることが多い女性に多く見られます。

裂肛(切れ痔/さけ痔)の主な症状

  • 排便時に痛んだり、出血したりする
  • 便秘した時や硬い便をしたときに症状がでる
  • 数日で改善することが多い

慢性化した場合には

  • 排便時の痛みが排便後も持続する
  • 同じ場所が何度も切れるとキズが深くなり、潰瘍になる
  • キズが治りにくくなる
  • 粘膜損傷と治癒を繰り返し、肛門狭窄をきたす

一般的な裂肛の手術適用

  • 再発を繰り返すもの
  • 肛門括約筋の緊張が強度で排便時・排便後の疼痛が激しいもの
  • 慢性化して狭窄を認めるもの
  • 炎症性肛門ポリープを認めるもの
  • 裂肛、痔ろうを形成しているもの

痔ろう(あな痔)について

痔ろう(あな痔)は、肛門周囲の皮膚と直腸をつなぐトンネル(瘻管)ができる痔のことをいいます。
下痢などによって肛門の組織に細菌が入り込んで感染を起こすことが原因といわれています。

痔ろう(あな痔)の主な症状

  • 肛門の周囲が腫れて、ズキズキした痛みがでる
  • 発熱(38~39℃)する
  • おしりが熱っぽい
  • 痛くてイスに座れない
  • トイレットペーパーや下着に膿が付く

痔ろう(あな痔)は肛門専用超音波検査で病態を正確に診断します。
手術は肛門の解剖学的特徴にあわせて可能な限り肛門機能を損なわないような方法で
瘻管の入り口となる原発口と出口となる二次口をふさぐような手術を行います。

肛門手術に炭酸ガスレーザーの導入

レーザー手術は万能ではありません。当院は従来の手術にレーザー手術を併用しレーザーの長所によりより低侵襲な手術(疼痛が少ない・腫れが少ない・きれいな傷)を目指しています。

レーザーの長所

  • 光線が熱源であり、指向性が良いため集光レンズで術野に高密度のエネルギーを集めるため熱の発生が局所的になり組織への損傷は少ない。組織障害は細胞の蒸気爆発による電気メスの1/3程度
  • 径1mm以下の血管からの止血は容易である。出血を少なくすれば術後の浮腫は少なく疼痛を軽減できる。
  • 切離縁のデザイン作成、ドレナージ創の形成やトリミングが容易。
  • 小さなスキンタグや腫瘍性病変は蒸散除去できる。

短所

止血能力は弱く1mm以上の血管は電気メスや血管の結紮が必要。

レーザー手術の場面

  • ①慢性裂肛の難治性潰瘍・瘢痕に対して蒸散や括約筋切開
  • ②痔瘻の瘻管切開(fistulotomy)後の瘻管内の不良肉芽や感染巣の蒸散
  • ③コンジローマ・肛門ポリープはde-focused beamで蒸散
  • ④痔核の外痔核切除部分の切離。痔核切除後の創部の傷を形成する(なだらかな傷に形成する事により創部の治癒環境を良くし綺麗な傷になる)。